ぼっこメモ

メモですから、ほんと。メモです。

保江邦夫先生の「宇宙学」講座 2016年4月(その6)波動関数って何ですか?

たとえば今、電子がひとつ、ここから下に向かって進んで行くとします。

素領域から素領域へと、パチンコの釘に弾かれるようにして進んでいきます。そうすると最終的に、この下のどこに到達するかは分からないですよね。たまたまこっちに行くかもしれないし、あっちに向かうかもしれない。

だから電子とか、クオークとか、素粒子(そりゅうし)呼ばれているエネルギーは、行き先がはっきりしないんです。


じゃあどうやったら行き先が分かるのか、というと、先ほどのシュレーディンガー方程式です。この方程式を使って計算すると、例えばここから出た電子がこの下のどの場所に来るのか、確率を計算することができます。

でもね、この方程式、よく見ると、少し変なんです。どこが変だかわかりますか?
これと、これです。(ホワイトボードに赤丸をつける)

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2箇所、ギリシア文字のψ(プサイ)がありますよね。わざわざギリシア文字なんか使っているところが怪しいでしょ。(笑)

このψ(プサイ)は、「波動関数」(はどう かんすう)と呼ばれています。波動関数を使って計算する事で、電子がどの場所に来るのがどのくらいの確率になるのか、それを求めることができます。そしてその計算結果は、実際の実験結果とも見事に合うんです。完璧です。

ところが、じゃあこの波動関数って一体何ですか?と聞くと、誰も答えられなかったんです。

他の、波動関数以外の要素については、みんな完璧に説明する事ができるんです。
Hはエネルギーです。

は時間です。

虚数(きょすう)といって、二乗(じじょう)するとマイナスになる数学的な記号です。

それから、このhに似た記号はディラック定数といって、この宇宙の性質を表した定数です。
こういう風に、波動関数以外はみんな、ちゃんと説明ができます。物理学的に、あるいは数学的に、素性がはっきりしているんです。ところが、肝心の波動関数とは何かが、さっぱり分からない。正体不明だったんです。

これは、シュレーディンガー方程式が発表された当初からずっと謎でした。波動関数とは一体何なのか、誰も分からないんです。これ、シュレーディンガー自身にも答えられないんです。
本人は、この方程式が閃いた時には、若い子と楽しいことやってただけなんで、研究してたわけでも勉強してたわけでもない。だから本人にもわからないんです。ずーっと正体不明のままでした。

それで結局、天才数学者のフォン・ノイマンとか、様々な物理学者たちが寄ってたかって研究して、辿り着いた結論がありまして。ついに、こう言わざるを得なくなった。

 「この世の物じゃない

波動関数は、この世の物じゃないんですよ。こうやって数式で見せることはできますが、実体としては示すことが出来ないんです。それで結局、物理学会での主流の解釈は、このψ(プサイ)というのは、この世には存在しない、という事になりました。じゃあ、あの世の物か?というと、それは黙る。

要するにこれは、方便なんです。
この宇宙に重なって存在している、真理の世界というのがあって、その真理の世界に存在する「波動関数」という概念を使って計算すると、この現実世界で、電子がどの場所に来るかという確率を教えて貰えるんだ、という事なんです。
つまり別の言い方をすると、我々は、あの世のものを使わないと、この世にある電子ひとつの場所すら、具体的に示す事が出来ないんです。
でもそんな事を言うと物理学者の敗北ですから、言わないんです。黙ってるんです。
このψ(プサイ)を「波動関数」って呼んでるだけで、それが実際どこにあるの?とか、そんなことは一切、言わない事にしたんです。

そんなモヤモヤした状況が、シュレーディンガー方程式が発表された1926年から、1978年まで、ずっと続きました。
そして1978年に、このモヤモヤした問題が、ついに解決できたんです。
どうやって解決したかというと、先ほど話した、湯川先生の素領域理論と、僕のこの額に浮かんだ方程式です。