ぼっこメモ

メモですから、ほんと。メモです。

保江邦夫先生の「宇宙学」講座 2016年4月(その9)月は我々が見ていない時に存在しているでしょうか?

こうして科学技術が進歩したおかげで、相対性理論シュレーディンガー方程式、そして湯川先生の素領域理論などが、ひとつひとつ実験で検証できるようになりました。

その一方でね、こうした理論では全く予想できなかった面白い現象も、新たに見つかるようになったんです。そのひとつが、ゼノンのパラドックスに似た現象です。

ゼノンのパラドックスというのは、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、古代ギリシャの哲学者だったゼノンが言った、

飛んでいる矢は止まっている」というものです。

どういう事かというと、飛んでいる矢を想像して下さい。

         f:id:Bocco:20190714202846j:plain
矢がびゅーんと飛んでいく、この矢は動いています。

でも、瞬間、瞬間を切り取ると、矢は止まっていますよね。

ひとつひとつの瞬間では止まっている矢なんだから、動く筈はないんですが、全体を通してみると、こっちからあっちへ、びゅーんと移動している。これはなぜだろう、という疑問です。
まあこれは、古代ギリシャの詭弁(きべん)です。

ずっと後の時代になって、ニュートンライプニッツといった物理学者や数学者が、「微分」という概念を発見して、このパラドックスを解決しました。

でもね、このパラドックスより、もっと奇妙で、けったいな現象が、現代の実験で見つかったんです。

どういう実験かというと、電子が一個、飛んでいきます。

先ほどの話で出たように、素領域から素領域へと、パチンコの釘に当たるようにして進んでいく。その様子を、最新の装置で観測できるように設定します。
たとえば、レーザー光線を出しておく。そうすれば、そこをたまたま電子が通れば、レーザー光に当たって分かります。そうやって、電子を観測できるようにしておきます。つまり我々が、レーザー光を使って電子を「見る」ことが出来るようにしておくわけです。そうするとね、ちょっと面白い現象が起こりまして。

たとえば今、電子がこう、ひょこひょこ飛んできます。そしてたまたま、レーザー光に当たって検出されます。その時点で我々は、その電子を「見た」わけです。
そうしますとね、その「見られた」電子は動くのをやめて、じーっとしてるんです。ところが、レーザー光線を止めて「見る」ことをやめると、動くんです。

不思議でしょ。

子供のお遊戯で、同じようなのがありますよね。

だるまさんがころんだ」です。

45mix.net

関西では「坊(ぼん)さんが屁をこいた」と言うんですが。(笑)

ちょうど、あの遊びと同じような現象です。

我々が見ている間は動かない。見るのをやめると動き出す。
これはとても不思議な現象です。

人間ならわかりますよ。あ、見られた、と思って止まる。

でも電子が、素粒子が、我々に「見られた」ことを認識して止まるんです。

そうとしか思えない現象が、実験で確かめられてしまったんです。

 

昔、インドの思想家でタゴールという人がいまして。

この人が、アインシュタインと対談した事があります。

f:id:Bocco:20190714203825j:plain

アインシュタインタゴール

その時、ちょうど月が出ていまして。それを見たタゴールが言ったんです。
アインシュタイン博士、あの月は、我々が見ていない時に、存在しているでしょうか?
そしたらアインシュタインは黙ってしまって、答えられなかった。

普通の人だったら、

「あるに決まっているじゃないか、何を言ってるんだ」となりますよね。
でも、アインシュタインは答えられなかった。

アインシュタインだからこそ、答えられなかったんです。

 

電子もね、見ていない状態だったら、普通にシュレーディンガー方程式に従って、ひょこひょこ動くんです。でも我々がその電子を見て、認識したら、止まるんです。そして認識をやめたら、また動く。

この不思議な現象を、「量子ゼノン効果」と呼びます。

この量子ゼノン効果は、我々の「観測」や「認識」という行為が、自然現象に多大な影響を及ぼしているという事をあらわしています。

でも普通、物理学の枠組みには、我々自身の「観測」や「認識」という要素を入れ込む事ができません。

ただ、先ほど説明した通り、シュレーディンガー方程式には、波動関数ψ(プサイ)という、正体不明の要素が入っていました。

このψ(プサイ)はとても難しい概念で、天才数学者のフォン・ノイマンが、

「最終的に、このψ(プサイ)の形を決めるのは、観測した人間である」と言ったんです。

いわゆる「観測問題」です。それほどに厄介な方程式だったんですね。

本当は物理学者たちは、こんなこと言いたくないんです。

この自然現象に、それを観測している我々の観測行為自体が大きな影響を与えているだなんて、認めたくないんです。でも先ほどの電子の実験をやってみると、必ずそうなってしまいます。だから現象として、認めざるを得ない。
今でもまだ、この「量子ゼノン効果」を完全に説明できる理論はありません。しかし、湯川先生の素領域理論を少し変更すると、ある程度は説明がつくようになります。

どのように考えるかといいますと。
空間の構成要素である素領域(そりょういき)は、パチンコ台の釘みたいなものです。
先ほど説明しましたね。電子や光子などの素粒子は、パチンコの釘に弾かれるように、素領域から素領域へと、ぴょこぴょこ飛び移っていきます。
この時、素粒子は、素領域そのものに影響を与えることはできません。パチンコの玉が、パチンコ台の釘に影響を与えないのと同じです。

ところが、人間の思念は、素領域そのものに影響を与えることが出来るんです。

我々人間の体は、素粒子で出来ています。

でも我々は、体だけで出来ているわけではありません。体の他に、思念の部分、つまりの部分がありますよね。その魂の部分というのは、実は素領域の部分なんです。素領域と、それを包んでいる「完全調和」の一部分が、魂なんです。

ビールにたとえて説明してみますね。

         f:id:Bocco:20190715200329j:plain

ビールの中に、小さい泡がいくつもいくつも浮かんでますよね。あの小さな泡つぶを、素領域だと思ってください。

ビールの中の泡つぶは、一つ一つがビールとつながっています。全ての泡がビールとつながって、ビールに包まれて、全体で一つの「ビール」になってますよね。

そこで今、我々が電子を見たり認識したりすると、我々の「思念」が生じます。その「思念」が素領域そのものであるとすれば、それはつまり、ビールの中に新しい泡つぶが現れるのと同じなんです。
そしてその新しい泡つぶが、先ほどの電子が入っている素領域や、その周辺の素領域に、何らかの相互作用を与えます。あっちへ遠ざけてしまったり、邪魔したりするわけです。その結果、「見られた」電子に影響が及んで、動きが変わるという可能性が考えられます。
このように仮定すれば、先ほどの量子ゼノン効果が、素領域理論で説明できるわけです。

では果たして、人間の思念というようなものを、素領域理論という物理学の理論に持ち込むことが出来るのか。

これは僕も、自分が大学院生の頃には知らなかったんですが、

実は湯川先生ご自身が、素領域理論と人間の思念の領域を繋げて考えていらっしゃったんです。まさかと思われるかもしれませんが、本当です。

つい1ヶ月前、私は偶然に、このことを突き止めました。