夕方、少し風が出てきた。
いつもの散歩道を歩く。
この男の子の看板を過ぎて、
少し行ったところに。
以前、いつも一匹の猫がいた。
白い猫。
見るからに年寄りで、ヨボヨボした感じ。
毛並みもボサボサ。
でもとても人懐こくて。
いつもニャーニャー鳴いて寄ってきて、
撫でさせてくれた。
撫でるととても気持ちよさそうに、
目を細めた。
だからいつも撫でるのに忙しくて、
写真は撮れなかったのだけれど。
ある日、なぜか写真を撮ろうという気になって。
撫でながら撮ってみた。
撫でながら、もう片方の手で写真を撮るのは、
なかなか難しかったけれど。
撮り出したら止まらなくなって、たくさん撮った。
たくさん、たくさん撮った。
そうして。
その次の日から、猫は姿を見せなくなった。
もう2年前のこと。
あの時は、これが最後だなんて、思いもしなかった。
これっぽっちも思わなかった。