ぼっこメモ

メモですから、ほんと。メモです。

山寺へ行ってきました: 立石寺(山形) その2

 

その1はこちら

bocco.hatenablog.jp

 

で、その立石寺(りっしゃくじ)。

立石寺といえば、芭蕉の俳句。

 

  閑(しずか)さや岩にしみ入る蝉の声

 

この句が詠まれたところとして有名です。

 

今回、私が訪れたのは6月30日です。まだ蝉はいません。

梅雨明け前の、暑くなる前の時期を狙って行ったのですが。

なんと今年は異常な早さで梅雨が明けてしまい、

見事に思惑が外れてしまいました。

曇っていたけど、暑かったです。

 

ちなみに、芭蕉立石寺を訪れたのは、

7月13日の夕刻だったのだそうです。

そういう説明板が立っていました。

 

そうか、あの句の「閑(しず)かさ」というのは、

夏の夕暮れの穏やかな感じだったのですね。

なんだか、納得してしまいました。

 

そんなわけで、山門をくぐって登り始めます。

朝の9時半でした。

 

 

石段を踏みしめ、踏みしめ、ゆっくり登っていくと、

さすが山寺、あちこちに石仏がいて、

なんだか励ましてくれているようです。

 

 

登っていくうちに、ふと気づいたのですが。

その石仏の、配置というか、現れるタイミングというか、

それが絶妙なんですね。

 

石段に登り疲れて、はあー疲れた、と見上げると、

ちょうどそこに石仏が、という感じなのです。

 

 

やっぱり、長い歴史を感じる山寺です。

ここは修行の場なんだなあ、と改めて思います。

 

延々と続く、長い石段ですが。

山の緑はとても美しく。

 

 

6月なので、まだ紫陽花の花も残っていたりして。

目を楽しませてくれました。

 

 

これは、仁王門の手前。

門の向こうに、ちらっと、あじさいが見えます。

いい感じです。

 

 

ここを越えると、奥の院まで、もう少しです。

 

でも、この辺りから、だんだん空が晴れてきまして。

体がきつくなってくるのです。

 

登りながら、うーむ、これはちょっとした苦行だな、

と思いました。

それで、2月に実相寺の山登りですれ違った、

親子のことを思い出したりして…。

bocco.hatenablog.jp

あの背中に負われていた小さな女の子は、今どうしているかな。

なんて思ったり。

 

山登りって、色んなことを考えるものですね。

 

立石寺の山頂には、奥の院があるのですが。

そのちょっと手前というか、ちょっと下に、

小さな売店と、休憩スペースがありまして。

飲み物などを売っていました。

 

見ると、「冷たい水タオル 500円」なんてのがあります。

 

ここまで長い石段を、延々登ってきて、汗みずく。

冷やしタオルで、顔をがーっと拭いたら、気持ちいいだろうな〜、

と、ものすごく心が揺れたのですが。

さすがに、おしぼりに500円はちょっと・・・、と思いましたので。

水タオルではなく、ポカリスエットを買って飲みました。

 

その冷たいポカリが、うまいことうまいこと。

 

  閑かさや体に沁み入るポカリスエット

 

という感じでした。

 

さて、ポカリを飲み終え、また石段を登って、奥の院の手前に出ます。

 

 

右に見えるのが、最後の石段です。

これを登れば、もう奥の院なのですが。

 

この一歩手前の場所が、なぜかとても居心地よく。

私はここで、しばらく座っていました。

石段に座って、ずっと空を見ていました。

 

目の前にある、奥の院のお堂。

その上の空に、けっこうなスピードで雲が流れていました。

 

お堂の左右にある木々が、風にざわざわと音を立てて揺れ。

雲は次から次へと現れて、どんどんその姿を変えながら、

絶え間なく流れていきます。

 

その様子を、ずーっと眺めていました。

 

 

こんなことを言うと怒られるかもしれませんが。

立石寺の御本尊は、この奥の院のお堂にある仏像なのですが。

本当の御本尊は、このお堂の上の、空なのではないか。

そんな気がしたのです。

 

とても爽やかで、清々しい時間でした。