ぼっこメモ

メモですから、ほんと。メモです。

山寺へ行ってきました: 立石寺(山形) その3

 

さて、立石寺奥の院にお参りを済ませた後。

少し下って、五大堂というお堂に向かいます。

 

 

このあたりが、立石寺で一番の絶景ポイントでして。
お堂から、広々とした山並みを一望する事ができます。

 

 

ところが、ところが。

なんとそのお堂で、熱中症の方に遭遇してしまったのです。

 

これから立石寺に行かれる方に、ぜひ注意していただきたいので。

起こったことを、少し詳しく書かせていただきます。

 

お堂から、美しい景色を写真に収めていた時です。

うしろで、「大丈夫ですか?」という女性の声が聞こえました。

 

振り向くと、60代半ばくらいの年配の男性がおひとり、

よろよろ、という感じで、お堂の床に座り込んでいます。

 

その傍らで、これも60代くらいの女性が心配そうに覗き込んで、

「大丈夫ですか?」と声をかけていたのです。

 

男性は、「大丈夫です、大丈夫です」と繰り返しながら、

でも、ぺったりと床に座り込んで、つらそうです。

 

見ると、額にびっしょりと汗をかいています。

マスクもつけているので、とても暑そうです。

熱中症なら、すぐに冷ましてあげなければなりません。

 

私は男性にのところへ行って、

「マスクは外したほうがいいですから、取りますよ」

と声をかけ、男性の耳からマスクを外しました。

 

そして男性が被っていた帽子も取ってあげて、

その帽子をばっさばっさと扇いで、男性に風を送りました。

 

すると傍らの女性も、ご自分の帽子を同じように扇いで、

風を送ってくれました。

 

「何か飲み物を持っていますか?」

扇ぎながら彼女が聞くと、男性は首を振りました。

 

なんとこの男性は、何も水分補給をせずにここまで登ってこられたのです。

これは、かなり無謀です。

 

本当なら、すぐに水分補給をするべきなのですが。

まさか、自分の飲みかけの水をあげるわけにもいきません。

 

仕方ないので、しばらくそうして風を送ってあげたところ、

それでも少しは状態が落ちついたようです。

男性は「ありがとうございます」と恐縮した感じで繰り返していました。

 

あまりずっと側にいるのも、かえって男性に気を遣わせてしまう気がしたので、

私は男性に帽子を手渡して、離れました。

そうしてしばらく、お堂からの景色を眺めて写真を撮りました。

 

 

でも、やっぱり気になります。

このまま座り込んだ男性を残して山を降りるのは、よくない気がしました。

せめて、水分補給はしないと危なそうです。

 

そうだ、さっきの売店へ行って、ポカリスエットを買ってきてあげよう。

そう思いつきました。

 

私は、床に座り込んだままの男性を残してお堂を出ると、

売店のほうへ登って行こうとしました。

 

すると、石段の向こうから、年配の女性が小走りでやってきます。

先ほど一緒に、男性を介抱してくださった女性です。

 

あれ?どうしたのだろう、と思って話を聞いたところ。

彼女はもう、一足先に、売店へ行ってくれていたのです。

 

彼女が「お堂で具合が悪くなった方がいる」と売店の方に話したところ、

なんと、ただでポカリスエットをくれたそうで。

そしてさらに、売店の方は、

熱中症は、お塩を舐めると即効性がありますよ」

と言って、塩を下さったのだそうです。

彼女は、小さなラップにくるんだ塩を見せてくれました。

 

すごいですね。素晴らしい連携プレーです。

 

私はその年配の女性と一緒に、お堂に戻りました。

先ほどの男性は、まだお堂の床に座り込んだままです。

律儀に、またマスクをつけていらっしゃいました。

 

「熱がこもりますから、マスクは外したほうがいいですよ」

そう女性が声をかけ、男性にポカリスエットを渡して、事情を話しました。

 

男性はとても驚いた様子でしたが、

「ありがとうございます」を繰り返しながら、

手渡されたポカリを飲んでくれました。

 

「どうぞ、お塩も舐めてください」

女性が優しくそう声をかけて、ラップに包んだ塩を渡しました。

「これも売店でくれたんです。お塩は、即効性があるそうですよ」

 

男性は、恐縮した感じで何度もお礼を繰り返し、塩をつまんで舐めました。

「私もちょっと貰いますね」

女性はそう言って、ご自身も塩をつまんで舐めていました。

 

その様子を見ていると、ああ、もう大丈夫、という感じがしました。

男性の額の汗も、だいぶ引いているようです。

 

私は男性から離れ、またしばらく、お堂からの景色を眺めた後、

「それではお大事に」と声をかけ、お堂を後にしました。

 

これが、すべての顛末です。

 

というわけで。

ここでもう一度、声を大にして言いたいと思います。

 

立石寺を参拝される皆さん、

熱中症に十分に注意を!

水分補給をお忘れなく!

 

これから8月、さらにさらに暑い日々が続きますからね。

体調に注意して、よい参拝を!