朝の散歩で、久しぶりに川沿いを歩いたら、
どんぐりを見つけた。
ずいぶん大きなどんぐりだ。
つやつやしている。
でもよく見ると、帽子がついていない。
あのベレー帽みたいなやつが無い。
だから、もしかしたら正確には、
どんぐりじゃないのかもしれない。
でもまあ、どんぐりだ。
こういう種類もあるのだろう。
山の中だったら、動物たちの貴重な
食べ物になる、どんぐり。
でも、さすがにこの辺りには、
クマもイノシシもいないので。
ただ土に埋もれていくだけ。
学校へと歩く小学生たちも、
誰もどんぐりなんか拾わないみたいだ。
みんなどんどん歩いていく。
どんぐりを、心をおどらせて拾い集めるのは、
もう少し幼い子供なのかもしれない。
歩きながら、考える。
空き缶いっぱいに、小さなどんぐりを集めて
宝物にしていた、子供の頃の自分に
話しかけてみたら、どうなるだろう。
君は大きくなったら、
朝の散歩でどんぐりをみつけても、
もう拾わなくなっているよ。
こんなに大きなどんぐりだけどさ。
そう伝えて、このどんぐりを見せたら、
君はなんて言うだろうか。
こちらを見上げて、小さく首をかしげるかもしれない。
でもね、本当だよ。