そうして山をおりまして。
どこへ行くともなく、周りをグルグルと走り回った後。
「あらい食堂」というところで、ご飯を食べました。
どうですか、このルックス。おいしそうでしょ。
ラーメンと半チャーハンのセットです。
ザ・町の食堂!といった感じですね。とても繁盛していました。
その後、福島駅前のイトーヨーカドーに車を止めまして。
タオルを買いました。
ぬる湯に浸かる時、浴槽のふちに頭を乗せて、仰向けに体を伸ばすとリラックスできるのですが、頭がちょっと痛いんですよね。
それで、頭の下に敷くクッション用のタオルを購入です。
そして駅前のドトールで、コーヒーを飲みながら、つらつらとネットを見ます。
旅館二階堂はWifi電波が繋がらないので、ここで情報収集です。
そんな感じで時間をつぶしまして、3時過ぎに旅館へと戻りました。
細い山道を車で登るのも、2回目となると、少し慣れてきました。
やっぱり、何事も慣れですかね。
昨日は、
「頼むから対向車こないでくれ〜」
と祈りながら走っていたものですが。
今日はもう、来たら来たで何とかなるだろう、という余裕が出てきました。
でもやっぱり、山の中。こんなところを走る車は少ないのでしょうね。
ぬる湯温泉に着くまで、すれ違う車は一台も現れませんでした。
さて、到着。旅館の駐車場に車を停め、玄関へ歩いて行きます。
すると。
玄関の向かい側に、ちょっとスペースがありまして、
木のベンチが2つあるのですが。
そのベンチの上で黒猫が、グデ〜っと伸びるようにして寝ていました。
面白かったので、向かい側のベンチに座り、
「おーい」と声をかけてみたのですが、起きる気配がありません。
完全に、ぐっすりと眠りこけているようです。
すごいなあ、と思ってそのままベンチを離れ、旅館の玄関に入りますと、
女将さんが何か作業をしていました。
「お帰りなさい」女将さんはそう声をかけてくれた後で、
「猫、寝てましたね」と言いました。
私が黒猫に声をかける様子を、玄関から見てらしたようです。
「今の時間、眠いんですかねえ」私が答えると、
「あの猫は、いつも寝てばっかりで」と女将さんは笑いました。
さて。
旅館の部屋に戻りました。まだ3時半です。
夕食まで3時間あります。
というわけで、昼湯です。
ぬる湯にゆっくりと浸かって、ドライブの疲れを癒すとしましょう。
浴室の扉をガラガラと開けますと、
湯船にはメガネをかけた若い男性がいました。
ぬる湯につかりながら、何か本を読んでいます。雑誌のようです。
温泉で読書とは、おもしろいですね。
私もぬる湯に入り、男性とは反対側に腰を下ろしました。
先ほどヨーカドーで買ったタオルを浴槽のふちに敷き、
頭を乗せて、ぬる湯の中で体を伸ばします。
うーん、いいです。
ゆったりと、リラックスできます。
彼は何の本を読んでいるのだろう?
気になるので、向かい側の男性をそれとなく観察します。
なんとなく、「本の雑誌」っぽい感じです。
でも「本の雑誌」そのものとは少し違うような。
何か文芸誌っぽい感じの本でした。
しばらくすると、浴室の扉がガラガラと開き、
もう一人の男性が入ってきました。
70歳くらいでしょうか。白髪の男性です。
スターウォーズの一作目に出てきた、オビワン・ケノービに似ています。
(アレック・ギネスが演じてたやつ)
すぐに心の中で、「オビワン」と名前をつけました。
静かに湯に浸かっていたのですが。
やがて、ひとつ発見がありました。
オビワンが、温泉の湯で目を洗ったのです。
オビワン老人は、ざばざばと流れ出る湯をケロリンの洗面器に受けると、
その中に顔をつけていました。
きっと、目をパチパチしているのでしょう。
なるほど!
湯船のお湯に直接顔をつけるよりも、
こうしたほうが、きれいなお湯で目を洗えそうです。
というわけで。
ぬる湯温泉に来て2日目にして、目を洗っている人に遭遇したわけです。
やっぱりここの温泉は、目にいいのだ。
こうやって、目を洗う人がちゃんといるのだから。
と、改めて確認することができました。
でも私は、前日の充血が治ったばかりだったので、なんだか怖い気がして。
目を洗うのは、もうやめていました。
ためしに、ちょっとだけ顔を湯につけて、目を開けてみたのですが。
うーん、やっぱり沁みます。
すぐに怖くなって、それ以上、目を洗うのはやめました。
ただゆったりと、ぬる湯の中で体を伸ばして、リラックスしていたのでした。