1時間ほど、サカモトさんとあれこれ話しながらぬる湯に浸かりまして。
充実した感じで、部屋に戻りました。
やっぱり、のんびりお湯に浸かりながら、話をするのはいいですね。
私も、カトウくんや他の人に、話しかけたほうがよかったのかなあ。
でも、やっぱり自分から話しかけるのって、少し気がひけるんだよなあ。
そんな風に思いながら廊下を歩き、部屋に戻りますと、
布団の上に、茶トラがいました。
夕方、黒が寝ていたのと同じ場所に、同じ格好で。
おかえり、と言ってくれているようです。
でも、すぐに眠そうに目を閉じて、
眠り猫になってしまいました。
私はこたつに入って、茶トラの寝顔をちらちら眺めつつ、
テレビを見ました。
ニュースを見て、CMを見て、
合間合間に、布団の茶トラを見て。
ゆったりした時間が流れていきます。
考えてみると、この部屋は、というかこの旅館は、
ずっと前から、この猫たちのものなんですよね。
黒猫も、茶トラも、きっと生まれた時から、
ずっと、この旅館にいるわけで。
私たち湯治客は、その猫たちのお宅に、
ほんのいっとき、お邪魔させていただいているわけです。
だから、黒も茶トラも、先輩として大切にしなければ。
そんな風に思ったのでした。
えーと、で、茶トラ先輩。
報道ステーションも終わったので、そろそろ寝たいんですが。
茶トラは布団の上で、私のほうを見ました。
むむ、なんだって?と言っているようです。
あのー、すみませんが、そろそろ寝たいので、
そこをどいて貰えませんか?
茶トラは、
何を言ってるのかわからんなー、
という表情です。
あのですね、その布団、私が寝たいので。
できれば、こたつに移っていただければと。
・・・・・
そんな風にして、茶トラとの会話(?)が続き、
最終日の夜は更けてゆくのでした。