今年は例年になく、地震や事故が相次ぐ、落ち着かないお正月でした。
ニュースを見ようとテレビをつけても、やっているのはお正月のバラエティー番組、ということが多くて。
そのうちテレビも見る気がしなくなり。
なんとなく、昨年からずっと机に積み重なっていた本を手に取っては、色々読んでいました。
その中で、面白かったものを一冊ご紹介したいと思います。
『犬は「びよ」と鳴いていた』
これは、大昔から日本で使われて来た、擬音語、擬態語についての研究書です。
日本語って、擬音語、擬態語の表現が、とても豊かな言語だったんですね。
たとえば、「キラキラ」とか「ユラユラ」とか。
日常で、ごく普通に使っているそんな言葉が、実は平安時代からずっと続いている表現なのだと。
へえ〜〜と、とても新鮮な驚きの連続でした。
それでですね。
この本で、私は長年の謎がひとつ解けまして。
それは、「ねこ」とは何か、ということです。
我々が「猫」と呼んでいるあの動物は、なぜネコなのか。
なぜ「ねこ」と呼ばれるようになったのか、という謎です。
ずっと昔、中学の頃に読んだある漫画に、
「猫はよく寝るから寝子なんだ」というセリフがあって。
ふーん、なるほど。と思いながらも、
なんかちょっと違和感があって。
それ以来、ず〜っと自分の中で、疑問だったのです。
猫はなぜ「ねこ」なのか、と。
それが今回、この本を読んで、とてもクリアになりました。
結論を言いますと。猫というのは、
「ねう、ねう」と鳴く「子」で、「ねうこ」。
それが「ねこ」になった、のです。
もともと、昔々の日本では、猫の鳴き声は、
「ねう、ねう」と表現されていたそうで。
今、一般的に私たちが使っている、「にゃあ」とか「にゃん」という鳴き声は、
江戸時代以降に使われるようになったということです。
私はこの、「ねう、ねう」という鳴き声の表現に、とても惹かれまして。
実際に何度も「ねう、ねう」と声に出していたのですが。
繰り返しているうちに、この「ねう」と表記されていた音は、
本当は少し違う読み方をされていたのではないか。
実際は、「ねう」ではなく、「ねぁう」という風に発音されていたのではないか、
と思うようになりました。
「ねう、ねう」と猫っぽく声に出しているうちに、
自然にそうなってしまったのです。
「ねぁう」という感じに。
そして、その音は猫の鳴き声にそっくりです。
恐らく、ですが。
平安の昔には、まだ小さい「ぁ」のような表音記号が出来ていなかったので、文字として書く際には「ねう」と書きながらも、実際の発音は「ねぁう」だったのではないかと、そう思うようになりました。
まあ、この部分は私の勝手な推測ですが。
それで、ともかく。
猫がもともと「ねうこ」であり、それが「ねう」という鳴き声に由来していたという説明は、とてもクリアに納得できるもので。
この本のおかげで、長年の疑問が解決できたのでした。
ところで。
猫がよく寝るから「寝子」なんだという、もうひとつの説ですが。
これはこれで、強く頷ける部分があります。
実際、猫はとてもよく寝ます。
実は昨年、福島のぬる湯温泉で旅館「二階堂」に泊まった際、すご〜く驚いた出来事がありまして。
それは以前にも何度か書いた、旅館にいる黒猫の話なのですが。
なんだか、今回はちょっと長くなってしまったので、
また次に書きたいと思います。