(保江先生、登壇)
はい。えーと、こんにちは。
ざーっと今、会場の中を拝見したところ、ずいぶん女性の方が多いようですね。ありがとうございます。
私ね、女性が多いと安心するんです。と言いますのも、私が勤めているのはノートルダム清心女子大学というところです。右を向いても左を向いても女性ばかり。
いつも授業する時も、相手はみんなお花畑みたいな女子学生たちばかりで。ちょうど今と同じような感じです。
(笑)
そうするとね、いつもこういう女性ばかりの環境で話をするのに慣れてしまうんです。この世は、この世界は女性ばかり。それも18歳から22歳くらいの若い女性だけで出来ているんだと、そんな風に日頃、勘違いしてますので。
今日はそれにぴったり合った環境で、とても安心しました。
(笑)
馬鹿なことばかり言ってすみません。
改めまして、ただいま紹介にあずかりました保江(やすえ)でございます。よろしくお願いします。
先ほど校長の渡辺知里(わたなべ ちさと)さんから説明がありましたが、この「宇宙学」の講義は今年の1月から始まりまして、今日は4月ですので、第4回です。
それでね、実は今日の第4回目は、この連続講義の中で、最も難しい内容なんです。
ところが今回は、会場が今までよりも大きなところに変わって、参加されている人数がぐーんと増えました。それでちょっと確認したいのですが。
今日、この僕の講義に初めて来られたという方は、どれくらいいらっしゃいますか?軽く手を挙げて頂けますか。
(会場の半数ほどが手を挙げる)
はい、ありがとうございます。
そうしますとね、普通、そういう方々を無視して講義を進めるわけにはいかないんですが…。僕はあのー・・・、容赦ないんです。
(笑)
まあ、今まで1月から3月までの内容というのは、この世界の成り立ちについて、基礎となる話をしてきただけです。聞いていらっしゃらなくても殆ど影響ありませんので、敢えてこのまま進めさせていただきます。
どうぞ、ご心配なさらずに聞いて下さい。そして僕の言うことを信じて下さい。
信じる者は救われる、と言いますでしょ。(笑)
今日はね、どういう話をするのかというと、空間についての話をします。
それでね、皆さんちょっと、この部屋の窓を見ていただけますか。
あそこに窓がありますね。普通の透明のガラスで、つるっと向こうが透けて見えます。
それからもう一方、こっちにも窓があります。こっちのは少し古い時代の窓ガラスで、凸凹しています。わかりますかね、このガラスです。つぶつぶが集まったような、凸凹ガラスになっているでしょ。
我々が今いるこの空間というのは、向こうの窓ガラスみたいに透明で何にも無い、ノペーっとした広がりだとお思いでしょうが、そうじゃないんです。実は非常に細かく見ていくと、でこぼこガラスみたいに、つぶつぶで出来てるんです。こんな風に。
僕、さっきここに入ってきた時、この窓ガラスを見て、ああラッキーと思ったんです。説明に使える、と思って。最近もう、こういうガラスはあまり見ないんですよ。古い建物じゃないと残ってません。
幸い、うちの大学、ノートルダム清心女子大学も古いので、建物もここと似た感じで、こういうガラスがあります。設計された方が、帝国ホテルを設計された、ライト設計事務所でして、まさにこんな感じです。もう古いだけが取り柄。
うちの理事長も古いだけが取り柄で(笑)、シスター渡辺和子というんですが。