ぼっこメモ

メモですから、ほんと。メモです。

保江邦夫先生の「宇宙学」講座 2016年4月(その2)シスター渡辺の「名誉息子」

僕がこうやって平気で、自分の勤める大学の理事長の悪口を言えるのは、どうしてかと言いますとね。
実は僕には、母親がいません。それで、今からもう30年ちょっと前、今の大学にお世話になる時に、シスター渡辺に聞いたんです。

「ねえシスター、シスターは修道女ですから、ご結婚されてないですよね?」
僕が聞いたら、シスター渡辺は「もちろんです」と答えられました。

「それじゃ、子供もいらっしゃらないですよね」と僕が聞いたら、
「もちろんです」とまたシスターが仰る。

それでね、僕はこう言ったんです。
「じゃあ、僕がシスターの『名誉息子』になってあげますよ
そしたらシスターはにっこり笑って、「まあ、ありがとう」と仰って。
それ以来、シスター渡辺和子は僕の『名誉母親』で、僕は『名誉息子』なんです。
 (笑)
シスターが僕のことを人に紹介して下さる時は、「うちの出来の悪い息子が…」と仰って下さるんですが。実は最近、兄弟ができまして。

 

今から1年半くらい前に、東大医学部にいらっしゃった矢作直樹(やはぎ なおき)先生が、ご自分の著作の本の帯に、シスター渡辺から推薦のことばを頂けないだろうかという事になって。それで私、シスターがいらっしゃる岡山の修道院に、矢作直樹先生をお連れして、紹介したんです。
その時、シスター渡辺がどんな感じだったかといいますとね。

矢作先生がこう、ぴしっと立っていらっしゃいまして。
シスターは、その矢作先生の爪先から頭のてっぺんまで、こ〜うやって二度くらい見ましてね、
感に耐えないという感じで、「まあ〜、素敵な方ねえ」と言いまして。
 それで、次のセリフがすごかった。
まるで、昔の海軍の将校さんみたいね」と仰ったんです。
もう、一目で矢作先生の事を気に入って下さって。推薦文の事も、すぐに承諾して下さいました。

 

それで色々話してた時に、僕が矢作先生の事を、

「僕の弟分みたいな奴なんですよ」と言ったら、
「あらまあ、そうなの」とシスターが目を輝かせて。「それじゃ、これで私には二人目の息子が出来たのね」と仰ったんです。
それ以来、僕が出来の悪い長男で、矢作先生が出来の良い次男、という事になりました。
 (笑)
まあ、そんな間柄なので、僕は人前で、シスターの事を悪く言えるんです。
多分、シスター渡辺の事を悪く言ってバチが当たらないのは、世界中で僕だけなんじゃないかという気がしますが。(笑)

 

そのシスター渡辺が数年前に出された、『置かれた場所で咲きなさい』という本があります。250万部のベストセラーです。
実は、あの本を出した出版社に、シスター渡辺を紹介したのも僕なんです。出版社の社長さんと編集者を、僕がシスターのところにお連れして。それでまあ、途中には色々あったんですが、編集者がしぶとく粘って、あの本が出来上がりました。
でも正直言って、誰もそんなに売れるとは思いませんでした。著者も出版社も、紹介した僕も思ってなかった。とりあえず5千部だけ刷って終わりにしようということで出したら、それが250万部の大ベストセラー。世の中、そんなものです。

でね。私この度、大学の名刺を刷り直したんですよ。ちょっとお見せしたいと思うんですが。ほら、こういう感じでして。 

今まで、名前の左上は空白だったんですが、ここにスタンプをつけまして。

渡辺和子理事長ベストセラー『置かれた場所で咲きなさい』仕掛人」と書きました。(笑)

もし今日来られた方で、こんな名刺でも貰ってやろうという方がいらっしゃいましたら、後で帰りにどうぞお持ちになって下さい。

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いただいた名刺。矢作直樹先生とのツーショット写真つきでした。

それでね、なんでわざわざ、こんなスタンプをつけて名刺を作り直したのかと言いますとね。
250万部のベストセラーという事は、250万人の方が、この本をお持ちなんです。シスターの他の本も合わせれば、恐らく300万人以上の方が、シスター渡辺の名前をご存知でしょう。その300万人の方々のお力をお借りしたい、という事情がありまして。それでシスターの名前を入れさせて頂きました。

そんな事したって効果ないだろう、と思うでしょ。ところがね、つい先日、この名刺を刷ってすぐに、早速、効いたんです。

 

この前、知り合いの方々に連れられて、銀座のクラブという所に飲みに行きまして。私、滅多にそういう所は行かないんですが、連れられて行ったわけです。
そこは本当にすごいクラブでね、若い可愛いホステスさんが3人つきまして。
それで僕は早速、刷ったばかりの名刺を渡したんです。
そしたらね、その3人の中の一人が、
あ!シスター渡辺の『置かれた場所で咲きなさい』だ!」って言うんです。
僕に向かって、「え?あの本、作られたんですか?」って、すごい反応をしてくれて。
「ええ、そうなんです。僕が編集者を連れて行ったんです」って説明したら、
ありがとうございます!」って、僕に感謝してくれるんです。

話を聞いたらね、彼女はこの本で救われた、って言うんです。それで彼女はシスター渡辺の大ファンになって、他のホステスさんにも本を薦めているんですって。

すごいでしょ。初めて入った銀座のクラブで、初めて席に来たホステスさんに、初めて刷った名刺を渡したら、すぐに一人、釣れたんです。
 (笑)
やっぱりシスター渡辺の名前って、凄いんですよ。
あ、僕の名刺にシスターの名前を入れた事は、もちろん、シスターには一言も言ってません
 (爆笑)
まあ、言えばきっとまた、「仕方ないわね、ウチの出来の悪い息子は」と言って怒られると思いますが。(笑)

で、なぜこんな事をして名刺を作り直したのか、それについては今日の講義の後で、少し時間をいただいて、ご説明いたします。