ぼっこメモ

メモですから、ほんと。メモです。

保江邦夫先生の「宇宙学」講座 2016年4月(その11)オッペンハイマーと空外上人

今日これまでお話ししてきた通り、湯川先生は、この一見何も無いように見える、のっぺりとした空間が、実は非常に小さいブツブツで構成されていると考えました。

そして、その空間の構成要素であるブツブツを、「素領域」(そりょういき)と名付けました。実は、岡潔も全く同じような事を言っているんです。

これは彼の自伝的な随想に書いてあるんですが、この空間は、とか情念とか、そういうものが集まって出来ているんだよと、岡潔はそう書いています。

僕はその本を読んでいたので、湯川先生に素領域のアイデアを授けたのは多分、岡潔だろうなと思っていました。

でも、違ったんです。二人とも、空外上人から、この思想を学んでいたんです。

 

「空外」は「空の外」ですから、空間の外です。空間の外というのは、つまり我々の情とか念とか、そういう別の世界を意味します。

そういう空外上人の教えを受けて、数学者の岡潔は、「空間は情や念や愛で出来ている」と表現し、物理学者の湯川先生は、「空間は素領域で出来ている」という理論を作ったんです。どちらも同じことです。みんな空外上人の教えだったんです。

だから、空外上人の教えまで戻って考えれば、さっきの量子ゼノン効果はどうなるか。

空間をふーっと飛んできた電子を我々が見て、認識します。すると、そのことによって我々の思念が生じ、空間を構成している素領域が変わるんです。

我々の認識、思念によって、周囲の愛やら情念やらが変わります。その変化が伝わって、結果的に電子の動きが変わる。そのように理解できるわけです。

これが、空外上人の教えに基づいた、量子ゼノン効果の解釈です。

 

空外上人がいた光明派というのは、宇宙の中に光明(こうみょう)があって、光明というのは、まあ神様みたいな存在ですね、その光明が全てを支配しているという考えなんです。だから普通の浄土宗の教えと比べると異質で、どちらかというと西洋哲学に近いものだと言えます。

 

湯川秀樹は、ノーベル賞を取った後、アメリカのプリンストン大学に呼ばれて滞在しました。それで岡潔先生の論文を持って行って、向こうで著名な数学者に手渡したりしているんですが。

実はその時、かつて原爆開発の責任者をしていた、オッペンハイマーという有名な物理学者に会って、空外上人の話をしています。そしたらオッペンハイマーが、空外上人の思想に非常に感銘を受けて、なんと自分自身も弟子入りしたいと言い出したんです。

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オッペンハイマー

それでオッペンハイマーは、湯川先生と一緒に日本に来て、当時広島にいらっしゃった空外上人のところに会いに行きました。そして、弟子にして欲しいと頼むんです。

でも空外上人は、「弟子にしてやりたいのは山々だけれど、お前はアメリカ人だ。この光明派の思想は、日本人でないと理解できない」と言って断ったんですね。

それでオッペンハイマーは諦めて、アメリカに帰って行ったそうです。

この話を、つい1ヶ月前に僕は名古屋のお坊さんから聞きました。そして自分で調べたら、本当だったんです。

 

/////(ひとことメモ)/////

山本空外上人のインタビュー記事が、Webページに出ていました。

ご自身の生い立ちから広島での被爆体験、浄土宗のお坊さんとしての話のみならず、ギリシア哲学やカントなどについても幅広く語られています。

その一部を、こちらに抜粋します。

(以下、抜粋)

私は、昭和九年に学位論文を出し、文学博士になったその年に、三ヶ月も目が充血して、本が読めなくなりました。お医者さまはもう駄目だと言われたのです。しかし、なったことを気にすると病気のために悪い。それで私は、盲になるか、ならないか、阿弥陀さまにおまかせしていたのです。そして「ナムアミダ仏」と念仏一筋で暮らしたのです。そうすると、お医者さまが驚かれるくらい快復が早くて、三ヶ月経った頃には、目があいて本が読めるようになりました。不思議なようですが、病気はするけれども治って、大事な時には仕事をまっとうできるんです。(中略)

私は、「般若心経」を一口でいえば「ナムアミダ仏」だといっているのです。(中略)

「アミダ」というのはインド語で「無量」と邦訳するのです。計算ができないという意味です。生活半径の輪が無なのです。「般若心経」を読むと、結局、「無」のことしかいっておりません。その「無」というのは「ない」という意味じゃない。「計算が出来ない」という意味ですよ。だから、どこまででも深められるのです。「超自然」といってもいいです。「ナムアミダ仏」というのは、「我々が生き得ている、いのちの根源」をさす言葉です。

(以上、抜粋)

全文は、こちらのリンクにありますのでどうぞ。

いのちを讃える

/////(ひとことメモ おわり)/////